少ない服で着回す考え方が広がる理由

「少ない服で着回す」「カプセルワードローブ」といった考え方が注目されています。ただし、何着まで減らすべきかという共通の正解があるわけではありません。仕事着、通勤環境、洗濯の頻度、季節、体調や体型の変化によって必要な枚数は異なります。重要なのは、所有数を競うことではなく、買った服が実際に使われているかを見直すことです。

2026年5月に全国の30〜50代女性551人を対象に実施された民間調査では、96.0%が1年間に一度も着ていない服を持ち、73.3%が「服はたくさんあるのに、着ていく服がない」と回答しました。企業が実施したインターネット調査であり、日本の全消費者を代表するとは限りませんが、服の量よりも組み合わせや管理に悩む人がいることを示す材料です。(出典:fashiontrend.jp)

背景にあるのは、買う量と使う量のずれ

環境省の最新の循環型ファッション資料では、1人あたり年間の新品衣服の購入は約19枚、手放す服は約11枚、一度も着られていない服は約24枚と推計されています。また、家庭にある衣類の45%が使われずにしまい込まれているとされます。調査年や推計方法を確認する必要はありますが、「持っている服が多いほど着こなしやすい」とは限らないことが分かります。(出典:env.go.jp)

消費者庁も、衣服は原材料の調達から製造までに環境負荷が生じ、1着あたりの二酸化炭素排出量を約25.5kgと紹介しています。この数値は服の種類や算定範囲によって変わるため、すべての衣服に一律に当てはめるものではありません。それでも、買う前に必要性を考え、洗濯表示に沿って手入れし、修繕しながら長く使うという順番は、流行だけで買い替えるより合理的です。(出典:caa.go.jp)

流行を取り入れるなら「全身」ではなく一部だけ

少ない服で着回す場合、すべてをベーシックな服にする必要はありません。長く使う土台と、短期間楽しむトレンド要素を分けると、流行と実用性を両立しやすくなります。たとえば、パンツ、シャツ、カーディガン、ジャケットなどは、手持ちの服と色や形を合わせやすいものを中心にし、流行色のバッグ、スカーフ、靴、トップスなどを少数加える方法です。

判断の目安は、その流行アイテム単体が魅力的かではなく、手持ちの服と少なくとも3通り組み合わせられるかです。さらに、勤務先や外出先で着られるか、季節をまたいで重ね着できるか、手入れ方法が生活に合うかも確認します。2026年のブランド発信でも、7アイテムで16通りの着こなしを提案する例が見られますが、これは商品販売に付随したスタイリング事例であり、誰にでも同じ枚数が適するという根拠ではありません。(出典:147.jp)

長期使用を前提にした買い方の比較軸

購入前は、次の順番で確認すると衝動買いを抑えやすくなります。第一に、似た用途の服をすでに持っていないか。第二に、手持ちのボトムスや羽織りと合わせられるか。第三に、今後半年で何回着る見込みがあるか。第四に、洗濯、乾燥、毛玉、色落ち、補修のしやすさが自分の生活に合うか。第五に、サイズが変わったときも着られる余地があるかです。

価格だけでなく、想定着用回数で考えるのも有効です。例えば8,000円の服を20回着るなら1回あたり400円、2回しか着なければ4,000円です。ただし、着用回数を事前に正確に予測できるわけではないため、計算結果だけで購入を正当化しないようにします。返品条件、送料、修理費、クリーニング費まで含めた総費用で比べることが大切です。

オンライン購入は便利ですが、経済産業省によると2023年の「衣類・服装雑貨等」のBtoC-EC市場規模は2兆6,712億円でした。画面上の着用写真だけで判断せず、実寸、素材、返品条件、レビューの母数や内容を確認しましょう。(出典:meti.go.jp)

注意点と誤解を避ける方法

「少ない服」は、我慢して最低限しか持たないことでも、定番服だけを買うことでもありません。洗濯が追いつかない枚数に減らす、仕事用と私服を無理に共用する、体に合わない服を長く着続けるといった方法は、快適さや衛生面を損なう可能性があります。必要な防寒着、冠婚葬祭用、運動着、制服、体調に合わせた服は、着用頻度が低くても役割があります。

また、「サステナブル素材」と表示されているだけで、長く使える、環境負荷が小さい、廃棄時に問題がないと断定することはできません。素材の具体的な表示、認証の範囲、製造・回収に関する説明を確認し、曖昧な環境主張は企業の公式情報や第三者認証で確かめます。衣類を手放す場合も、回収に出せば必ず服として再利用されるわけではありません。環境省資料では、手放された衣服のうちリユースは35%、リサイクルは7%、焼却などの処分は58%とされています。(出典:env.go.jp)

読者が確認するチェックリスト

今日、買い物の前にクローゼットと購入ページを見ながら、次の項目を確認しましょう。すべてに当てはまらなくても、迷いの理由を言葉にできれば判断しやすくなります。

  • 今ある服を写真またはメモで一覧にしたか
  • 買いたい服と似た色・形・用途の服をすでに持っていないか
  • 手持ちの服と3通り以上の組み合わせを作れるか
  • 今後半年で着る場面と回数を具体的に想像できるか
  • 洗濯表示、乾燥方法、毛玉や色落ち、修理の可否を確認したか
  • 実寸、試着、返品・交換条件、送料を確認したか
  • 価格ではなく、着用回数と手入れ費を含む総費用で納得できるか
  • 流行が終わっても単体または小物として使えるか、手放す場合の回収先を確認したか